【会社の経営の基本方針】
当社グループは創業以来、事業を通じて社会的課題を解決することで、よりよい社会を作ることを使命としています。そして企業理念の実践を通じて持続的な企業価値の向上を目指し、企業理念を軸にした経営を進めています。
【中長期的な会社の経営戦略】
<長期ビジョン「Shaping the Future 2030」の概要>
当社グループは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping the Future 2030」(以下、SF2030)に基づいた経営に取り組んでいます。SF2030では、社会が変革期を迎える中、当社が社会的課題の解決を通じ、投資家をはじめとしたすべてのステークホルダーに貢献するため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めています。多くの社会的課題が発生するこれからの未来において、社会に与えるインパクトが大きく、当社グループの強みであるオートメーションや顧客資産・事業資産を活かせるという観点から、「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」の3つを当社グループが解決すべき社会的課題と定めています。これらの課題解決を実現するために、SF2030では、当社グループの事業ドメインを見直し4つに設定するとともに、同領域で創出する社会価値を定めています。インダストリアルオートメーションドメインでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献。ヘルスケアソリューションドメインでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献。ソーシャルソリューションドメインでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献。そして、デバイス&モジュールソリューションドメインでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指しています。また、当社はSF2030のもと、事業とサステナビリティを一体のものとして取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値を向上させてまいります。
ご参考:
詳細は長期ビジョンの説明会資料に掲載しています。
https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/sf_info/
<事業環境の急激な変化を受けた構造改革プログラム「NEXT2025」の実行と2024年度の進捗>
SF2030は当初、2022年度から3年ごとの中期経営計画を定める計画でした。最初の中期経営計画、SF 1st Stageは2024年度をゴールとし、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への能力転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置づけていました。しかし、SF 1st Stageの2年目となる2023年度においては、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化しました。全社の成長をけん引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、大幅な業績の悪化を招きました。
当社では、この状況を改善すべく2023年度の第3四半期からいち早く固定費の効率化に向けた取り組みを進めてきました。しかし、当社が抱える本質的な課題に対して、より抜本的な解決に取り組むべく、2024年4月から2025年9月までを「業績の立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」に集中する期間とし、構造改革プログラム「NEXT2025」に取り組んでいます。なお、「NEXT2025」に全社のリソースを集中させるため、SF 1st Stageを見直し、「NEXT2025」完了後の2026年度から2030年度までを、次の中期経営計画「SF 2nd Stage」とすることに変更しました。
構造改革プログラム「NEXT2025」においては、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく、5つの経営施策を実行しています。
具体的には、以下のとおりです。
制御機器事業の早急な立て直し
収益・成長基盤の再構築
構造改革プログラム「NEXT2025」は計画通りに進捗しており、収益・成長基盤の再構築は大きく進展しています。2025年9月までの残りの期間についても、各施策を着実に実行し、成果を追求していきます。
【次期の経営計画】
次期は、「All for creating customer value ~需要変化の迅速な察知と機動的アクションによる売上最大化の実現~」を全社方針とし、構造改革プログラム「NEXT 2025」を完遂し、取組みの成果を業績に結実させます。次期は、売上高8,350~8,200億円、売上総利益率44.7~44.2%、営業利益650~560億円の増収増益を目指します。
財務目標
当期に設定した非財務目標における各取り組みは、次期においても継続して実施しますが、次期中期経営計画に向けて非財務目標の見直しを検討しており、かつ、2025年9月までは構造改革期間中であることから、具体的な目標は設定していません。
なお、当期の実績は以下の通りです。
非財務目標(2025年3月期実績)
(*1)2024年度に設定した目標値
(*2)「カーボンニュートラルの実現」「、デジタル化社会の実現」「、健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高。
(*3)2025年5月20日時点の見込み数値。
(*4)非財務目標の⑧から⑩は、社員投票で決定した目標。
(*5)非財務目標に記載されている数値は、2022年度に設定したSF 1st Stageの当初設定目標。