当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化に伴うインバウンド需要の大幅な回復や堅調な企業業績等を背景に、年度を通じて景気は緩やかな回復が続きましたが、原材料・エネルギー価格の高止まりや継続する物価上昇など設備投資や個人消費が下振れする懸念要素もあり、依然として不透明な状況が続いております。
こうした状況のもと、当社グループのディスクロージャー関連事業に関係が深い国内株式市場においては、国内景気の回復および業績好調な半導体関連株や円安を背景に輸出関連株の買いが膨らみ、2月下旬には日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新するなど、30,000円台から40,000円台の水準で推移しました。
このような事業環境において、多様化・高度化する情報開示に対するシステムの技術革新等を含めた対応要請、オンライン化、事業体のグローバル化への動きは今後も一層進展していくものと考えております。
ディスクロージャー関連事業では、企業価値の拡大を目指すお客様のニーズにお応えするべく、決算開示実務の一層の利便性向上を推進する統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo(ウィズラボ)」の導入社数の増加に注力し、「ネットで招集」や株主総会の動画配信(ライブ・オンデマンド)をはじめとする株主総会プロセスの電子化への対応にも引き続き取り組んでまいりました。また、改訂コーポレートガバナンス・コード適用や資本コストを意識した経営の実現に向け積極性を増すステークホルダーとの対話や、海外投資家に向けた英語での会社情報の開示への一層の取組みに際して必要となるIR支援・翻訳サービスのほかにも、サステナビリティ情報を含む非財務情報開示の充実化への需要に対する統合報告書の作成や環境関連のコンサルティング等、各サービスにおける提案力・制作体制・品質の強化を進めてまいりました。
一方、通訳・翻訳事業では、回復した大型会議およびイベント開催のほか、従来よりも安価で簡便な形での大規模なイベントの通訳や、海外での会議における通訳者の海外渡航を伴わない国内からの通訳を可能にする遠隔同時通訳プラットフォーム“interprefy” がコロナ禍で普及し、これを利用した会議・通訳の需要は安定的に推移しており、通訳事業の基盤の一つを構築するものとして捉えております。
その結果、当連結会計年度の売上高は29,278百万円(前連結会計年度比1,710百万円増、同6.2%増)となりました。利益面については、営業利益は4,231百万円(同419百万円増、同11.0%増)、経常利益は4,307百万円(同324百万円増、同8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,014百万円(同418百万円増、同16.1%増)となりました。
売上高をセグメント別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
なお、セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高または振替高を相殺消去し記載しております。
売上高21,071百万円 前連結会計年度比6.7%増
当セグメントにおきましては、統合型ビジネスレポートシステムや株主総会関連商材の売上が増加したことにより、売上高は21,071百万円(同1,322百万円増、同6.7%増)となり、セグメント利益は3,368百万円(同720百万円増、同27.2%増)となりました。
「ディスクロージャー関連事業」を製品区分別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
■金融商品取引法関連製品
売上高7,832百万円 前連結会計年度比6.0%増
統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo」の導入顧客数の増加や、金融商品取引法関連文書の翻訳の売上が増加したことにより、売上高は7,832百万円(同440百万円増、同6.0%増)となりました。
■会社法関連製品
売上高6,600百万円 前連結会計年度比1.6%増
株主総会招集通知の早期開示傾向の影響により、関連する売上が当連結会計年度の2024年5月に移行する傾向が見られ、売上高は6,600百万円(同104百万円増、同1.6%増)となりました。
■IR関連製品
売上高4,733百万円 前連結会計年度比4.8%増
統合報告書の売上が増加したことにより、売上高は4,733百万円(同216百万円増、同4.8%増)となりました。
■その他製品
売上高1,905百万円 前連結会計年度比41.7%増
WEB関連、公告関連売上が増加したことや、企業の開示プロセス支援に係るシステム開発の受注などにより、売上高は1,905百万円(同561百万円増、同41.7%増)となりました。
売上高8,206百万円 前連結会計年度比5.0%増
当セグメントにおきましては、売上高は8,206百万円(同387百万円増、同5.0%増)となりました。
通訳事業においては、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した2023年5月前後からコロナ禍で中止、延期となっていた日本での国際会議、イベントが復活し、通期ではコロナ禍で需要が増えたオンラインでの社内会議が安定的に推移したことにより、オンサイトでの会議、オンラインとの組み合わせによるハイブリッド型会議など様々な形式で受注件数が増加し、売上が増加しました。翻訳事業においては、企業活動の活発化から経営関連の翻訳需要は安定しており、大型入札案件なども受注しており、国内外で売上が拡大しています。一方、利益面では、体制強化による販管費の上昇や、マーケットにおいて翻訳単価が下がっていることもあり原価率が高く推移したことで、セグメント利益は528百万円(同15百万円減、同2.9%減)となりました。