1.提案の理由及び当該報酬制度を相当とする理由
当社の取締役(2.のとおり、監査等委員である取締役並びに監査等委員でない取締役のうち社外取締役及び非常勤取締役を除き、以下本議案において「取締役」といいます。)の報酬は、「月額報酬」及び「賞与」で構成されていますが、本議案は、取締役を対象に、新たに業績連動型株式報酬制度(以下、「本制度」といいます。)を導入することについてご承認をお願いするものです。なお、その詳細につきましては、2.の枠内で取締役会にご一任いただきたく存じます。
本制度は、取締役の報酬と当社の企業価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としており、また、当社は2021年5月12日開催の取締役会において、本議案及び第5号議案「監査等委員でない取締役の報酬等の額改定の件」をご承認いただくことを条件として新たな取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を定めており、その概要は②取締役及び監査役の報酬等に関する方針並びにその総額に記載のとおりでありますが、本議案は、当該方針に沿う内容の取締役の個人別の報酬等を付与するために必要かつ合理的な内容となっていることから、本制度は相当であると考えております。
本議案は、第5号議案においてご承認をお願いしております監査等委員でない取締役の報酬の限度額とは別枠で、新たな業績連動型株式報酬を、2022年3月31日で終了する事業年度までの1事業年度の間に在任する取締役に対して支給するというものです。
なお、第2号議案「監査等委員でない取締役11名選任の件」が原案どおり承認可決されますと、本制度の対象となる取締役は6名となります。
2.本制度における報酬等の額・内容等
(1)本制度の概要
本制度は、当社が金銭を拠出することにより設定する信託(以下、「本信託」といいます。)が当社株式を取得し、当社が各取締役に付与するポイントに応じた数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される、という株式報酬制度です。本制度による当社株式の交付は、当社の掲げる中期経営計画の対象となる期間に在任する取締役に対して行うものとし(かかる期間を以下「対象期間」といい、当初の対象期間は、現行の中期経営計画の残存期間である2022年3月31日で終了する事業年度までの1事業年度を対象期間とします。)、対象となる取締役の役位及び中期経営計画の業績目標の達成度等に応じた数の当社株式を、対象期間に在任する取締役に対して役員報酬として交付します。なお、取締役が当社株式の交付を受ける時期は、原則として取締役の退任時です。
(2)当社が拠出する金銭の上限
本信託の当初の信託期間は約1年間とし、当社は、当初の対象期間中に、本制度に基づき取締役に交付するために必要な当社株式の取得資金として、合計金9,000万円を上限とする金銭を当該対象期間中に在任する取締役に対する報酬として拠出し、一定の要件を満たす取締役を受益者として本信託を設定します。本信託は、当社が信託した金銭を原資として、当社株式を当社の自己株式の処分による方法又は取引所市場(立会外取引を含みます。)から取得する方法により、取得します。
注:当社が実際に本信託に信託する金銭は、上記の当社株式の取得資金のほか、信託報酬、信託管理人報酬等の必要費用の見込み額を合わせた金額となります。
なお、対象期間の満了後において、当社取締役会の決定により、その時点において当社が制定している中期経営計画の期間を新たな対象期間とし、当該新たな対象期間と同じ年数の期間について本信託の信託期間を延長し(当社が設定する本信託と同一の目的の信託に本信託の信託財産を移転することにより実質的に信託期間を延長することを含みます。以下も同様です。)、本制度を継続することがあります。
この場合、当社は、当該新たな対象期間中に、本制度により取締役に交付するために必要な当社株式の追加取得資金として、当該新たな対象期間の事業年度数に金9,000万円を乗じた金額を上限とする金銭を本信託に追加拠出し、(3)のポイント付与及び当社株式の交付を継続します。
また、上記のように新たな対象期間を設定して本制度を継続しない場合であっても、信託期間の満了時において、既にポイントを付与されているものの未だ退任していない取締役がある場合には、当該取締役が退任し当社株式の交付が完了するまで、本信託の信託期間を延長することがあります。
(3)取締役に交付される当社株式の算定方法及び上限
① 取締役に対するポイントの付与方法等
当社取締役会で定める株式交付規程に基づき、信託期間中の毎年一定の時期に、対象期間中の事業年度ごとに、各取締役に対して、役位に応じて、以下の算定式により計算されるポイント(以下「基準ポイント」といいます)が付与されます。そのうえで、対象期間の最終事業年度末日直後の一定の時期(当初の対象期間については2022年6月頃を予定)に、対象期間につき付与され累積した基準ポイント数に業績連動係数を乗じたポイント数を算出します(以下「株式交付ポイント数」といいます)。
業績連動係数は、中期経営計画に掲げる財務指標等の目標の達成度等の評価に応じて0~150%の範囲で決定される係数とするものとし、当初の対象期間については、対象期間の最終事業年度(2022年3月期)の連結売上高及び連結営業利益率の業績目標達成度に基づき決定します。
(基準ポイントの算定式)
役位別に定める基準株式報酬額÷対象期間開始月の前月(当初対象期間については信託契約締結日の属する月の前月)の東京証券取引所における当社株式の終値の平均値(小数点以下の端数は切り捨て)
ただし、当社が取締役に対して付与する基準ポイントの総数は、1事業年度あたり105,000ポイントを上限とし、本信託の信託期間中に取締役に対して付与されるポイント数の上限は、105,000ポイントに対象期間の年数を乗じたポイント数とします。また、信託期間中に本信託が取締役に交付を行うために取得して取締役に交付を行う当社株式の数の上限は、当該上限ポイント数に相当する株式数とします(以下「上限交付株式数」といいます。)。そのため、1事業年度を対象とする当初の対象期間中に対応する上限交付株式数は、105,000株(1ポイントにつき当社株式1株の場合)となります。また、(2)により本信託の継続が行われた場合、延長された信託期間に取締役に対して付与されるポイント数の上限は、105,000ポイントに新たな対象期間の年数を乗じたポイント数とし、また、信託期間中に本信託が取締役に交付を行うために取得して取締役に交付を行う当社株式の数の上限は、当該上限ポイント数に相当する株式数とします。
② 株式交付ポイント数に応じた当社株式の交付
取締役は、(3)①の株式交付ポイント数に応じて、(3)③の手続に従い、当社株式の交付を受けます。また、信託期間中に取締役が退任または死亡した場合には、当該時点までに累積した基準ポイント数を株式交付ポイント数として、交付を行う株式数を決定します。ただし、取締役が当社の意思に反して自己都合により退任する場合等には交付を受けないものとします。
なお、1ポイントは当社株式1株とします。ただし、当社株式について、株式分割・株式併合等、交付すべき当社株式数の調整を行うことが合理的であると認められる事象が生じた場合には、1ポイントあたりの当社株式数は、かかる分割比率・併合比率等に応じて調整されるものとします。
③ 取締役に対する当社株式の交付
各取締役は原則としてその退任時に所定の手続を行って本信託の受益権を取得し、本信託の受益者として、本信託から(3)②の当社株式の交付を受けます。
ただし、このうち一定の割合の当社株式については、源泉所得税等の納税資金を当社が源泉徴収する目的で本信託において売却換金したうえで、当社株式に代わり金銭で交付することがあります。また、本信託内の当社株式について公開買付けに応募して決済された場合等、本信託内の当社株式が換金された場合には、当社株式に代わり金銭で交付することがあります。
なお、信託期間中に取締役が死亡した場合には、当該時点で計算した株式交付ポイント数の全部に相当する当社株式について、本信託において売却換金した上で、当該取締役の相続人が、その換金処分金相当額の金銭の交付を受けるものとします。
(4)クローバック制度等
取締役に重大な不正・違反行為等が発生した場合又は取締役が当社の許可なく同業他社との間で雇用契約又は委任契約を締結した場合、本制度に基づく当社株式の交付を受ける権利の喪失又は没収(マルス)、交付した当社株式相当の金銭の返還請求(クローバック)ができる制度を設けます。
(5)議決権行使
本信託内の当社株式に係る議決権は、当社及び当社役員から独立した信託管理人の指図に基づき、一律に行使しないことといたします。かかる方法によることで、本信託内の当社株式に係る議決権の行使について、当社経営への中立性を確保することを企図しております。
(6)配当の取扱い
本信託内の当社株式に係る配当は、本信託が受領し、当社株式の取得代金や本信託に係る受託者の信託報酬等に充てられます。
(参考)
なお、当社は、本議案が原案どおり承認可決された場合、当社と委任契約を締結している執行役員に対しても同様の株式報酬制度を導入する予定です。
本制度の詳細につきましては、2021年5月12日付適時開示「役員に対する業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ」をご参照ください。