経営施策の取り組み状況

 当社グループは、「信頼されるブランドの浸透」により2025年のGlobal 3rd Stageにおいて、Global Top 5として世界のお客様から信頼される企業をめざしています。
 中期経営計画(2019年度~2021年度)はGlobal 3rd Stageの達成をめざす上での重要な3カ年であり、今後の成長力の源泉となる強みを明確化して徹底的に磨き、実行していく期間となります。そのために、「変わらぬ信念、変える勇気によるグローバルで質の伴った成長」を推進しています。
 「変わらぬ信念」では、当社の企業理念「情報技術で、新しい「しくみ」や「価値」を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」と「Long-Term Relationships(長期的信頼関係)」を根底に、事業と企業活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、企業価値を持続的に向上させています。
 具体的には、国内における地方自治体向けの給付金支給業務の自動化を支援するRPAソリューションの無償提供、海外においては、北米の学生向けのリモート学習環境及び欧州の医療関係者をサポートする遠隔診療ソリューションの提供等を行いました。世界的大流行となった新型コロナウイルス感染症に対し、グローバル全体で事業を通じた貢献をしています。
 加えて、脱炭素化が世界的な潮流となる中、当社自身のCO2削減、更には社会全体のCO2排出量の削減に向けて「気候変動アクション推進委員会」を設立し、全社を挙げて気候変動問題への取り組みを推進しています。
 「変える勇気」では、デジタルへの取り組みの更なる加速とグローバルシナジーの最大化を実現してお客様への提供価値最大化を図っています。そのために以下の4つの戦略に基づく取り組みを推進するとともに、NTTグループ連携の強化を図っています。

戦略1:グローバルデジタルオファリング(注1)の拡充では、デジタル領域でグローバルシナジーを最大化し、戦うための武器づくりと戦い方のレベルアップを図っています。具体的には、「グローバルマーケティングの加速」、「積極投資によるオファリング創出」、「技術集約拠点(CoE(注2))の拡充」の3つに取り組んでいます。
 グローバルマーケティングの加速では、グローバルワンチームによる各国横断での戦略策定、グローバルに事業を行っているお客様(グローバルアカウント)への提案やサポートの加速、デジタルサクセスストーリーの共有と活用の推進、グローバルマーケティングの高度化を実施しています。2020年度は、これらの活動により、グローバルアカウントから複数の受注を獲得することができました。
 積極投資によるオファリング創出では、全社のデジタルビジネスを加速させるための組織であるDigital Strategy Office(DSO)を創設し、グローバルレベルで重点領域のオファリング創りを推進しています。2020年度は、DSOの取り組みの中で開発した保険業向けプラットフォームにより北米で大型案件を獲得するなど、これまで15件のグローバルデジタルオファリングがサービス提供段階となりました。
 技術集約拠点(CoE)の拡充では、Blockchain、Digital Design、Agile/DevOps(注3)、AI 等のデジタルの技術・知見の共有や展開をグローバルで推進しています。2020年度には、BlockchainやDigital Design、Agile/DevOpsを活用したサービスの受注・開発に大きく貢献しました。また、2020年度から新たに、IoT、Intelligent Automation(注4)、Software Engineering Automation(注5)の3つの領域を立ち上げました。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化では、リージョンごとにお客様特性に合わせた魅力的な価値を提供し続けています。
 当社グループは、国内においては、お客様との長期的な深い信頼関係に基づく既存システム領域を強みとしており、北米・欧州では、ITO等のアウトソーシングビジネスを強みとしています。これらの強みにデジタル技術を掛け合わせることで新たな価値を創出しています。
 2020年度において、国内では、官公庁や金融機関、法人のお客様における基幹システム等、複数の大型案件受注に加え、Blockchain技術を活用した貿易プラットフォーム「TradeWaltz」や、地域通貨のデジタル化に向けたキャッシュレスサービス、次世代グローバルECサービスの提供等、デジタル関連案件の拡大に繋がりました。
 また、北米・欧州においても、AIを活用した欧州機関の国境管理システムや大手エネルギー関連企業のDX案件等、複数年のデジタル大型案件の受注に繋がりました。

戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化では、戦略1、2を実現するため社員一人一人の自己実現と組織力の強化を図っています。
 2020年度においても、2019年度に整備したデジタル活用人財強化のための研修プログラムやADP制度(注6)・TG制度(注7)等の人事制度を活用し、人財の拡充や社内風土及び意識の変革を進めています。また、デジタルを活用した働き方の変革にも力を入れており、コンテンツやノウハウを社内で共有するためのデジタルナレッジシェアの活用を進めています。

NTTグループ連携の強化:NTTグループ連携の強化では、技術活用やクロスセル等One NTTシナジーの発揮を狙いとしています。2020年度には、IOWN推進室の設立により、当社のお客様にデジタルツインコンピューティング(DTC)(注8)を中心としたIOWNの革新的な技術適用を図り、新たな提供価値の創出に取り組んでおり、加えてトヨタ自動車㈱をはじめとするNTTグループの共創案件にも複数参画しています。

 このように2020年度は、新型コロナウイルス感染症の発生により、経済、企業活動へのダメージという逆風が吹く厳しい環境下でも、国内を中心にレジリエンスを発揮することができました。
 同時に、経済、企業活動の回復や様々な社会課題の解決に向けて、行政や企業が、分野、業界の枠を超えて連携する動きが加速しており、当社を取り巻く環境は変化しています。
 このような変化へ対応していくため、公共、金融、法人の枠組みを超えた、全社横断組織としてソーシャルデザイン推進室を設立しました。行政のみならず社会全体のデジタルトランスフォーメーションに向けて、生活者起点の新たなサービスの創出に取り組んでいきます。

(参考)デジタル社会の実現に向けて|全社横断組織ソーシャルデザイン推進室の設置
 分野・業界の枠を超えた連携を強化し、更にグローバルレベルでベストプラクティスを創出・展開し、社会全体のデジタル化に貢献していきます。

(注1)デジタルオファリング
最先端技術を活用してお客様へ提供する商品・サービス等のことです。

(注2)CoE(Center of Excellence)
高度な研究・開発活動を行い、人財及び事業の創出・育成の中核となる拠点のことです。

(注3)DevOps
開発チームと運用チームが連携してシステムに対するお客様要求に高品質・柔軟・短期間に対応するために、ツールや開発手法等で構成される仕組みのことです。

(注4)Intelligent Automation
人工知能(AI)、機械学習、およびデータ活用によって自動化されたビジネスプロセスを実行する技術のことです。

(注5)Software Engineering Automation
ソフトウェア開発工程全体を対象に抜本的生産性向上を狙った次世代生産技術のことです。

(注6)ADP(Advanced Professional)制度
AI、IoT、クラウドなど先進技術領域やコンサルティングの領域において卓越した専門性を有した人財を外部から市場価値に応じた報酬で採用する制度です。

(注7)TG(Technical Grade)制度
専門的スキルをもつ人財の潜在能力を最大限に活かして評価する制度です。

(注8)デジタルツインコンピューティング(DTC)
IOWN構想で掲げるデジタルツインコンピューティングとは、従来のデジタルツイン(仮想空間に現実世界の環境を再現し、シミュレーションを行う技術)を発展させて、多様な産業やヒトとモノのデジタルツイン同士を自在に掛け合わせて高度なシミュレートを行うことで全く新しい価値を創出するという革新的な技術のことです。

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2021/06/17 12:00:00 +0900
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