事業活動の取り組み状況

 グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタルオファリング、システムインテグレーション等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。

2021年3月期 業績ハイライト

 セグメント別の取り組みについては、以下のとおりです。

NTTデータグループ

(2020年度実績)

(注)上記の構成比については、調整額除きで算定

 売上高は、中央府省及びテレコム向けサービスの規模拡大等により増収となりました。

 営業利益は、増収及び不採算案件の抑制等により増益となりました。

 売上高は、金融機関向けサービスの規模拡大等により増収となりました。

 営業利益は、不採算案件の抑制等により増益となりました。

 売上高は、製造業を中心とした新型コロナウイルス感染症拡大影響等はあるものの、流通・サービス業向けサービスの規模拡大等により前年並みとなりました。

 営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大影響による売上高販管費率の悪化等により減益となりました。

 売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大影響及び為替影響等による減収はあるものの、M&Aによる規模拡大等により前年並みとなりました。

 営業利益は、将来に向けた事業構造改革の実施に伴う費用増及び新型コロナウイルス感染症拡大影響等により減益となりました。

 売上高は、イタリア等での堅実な売上確保はあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大影響等により前年並みとなりました。

 営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大影響等による減益はあるものの、事業構造改革の効果及び費用減等により増益となりました。

当連結会計年度末における主な海外拠点の状況は以下のとおりです。

55カ国・地域、208都市、約99,400人体制を確立(日本国内を含むと約139,500人体制)

(2021年3月31日現在)

公共・社会基盤

 政府・インフラ企業の基幹業務のシステム更改を確実に獲得しつつ、これまでの当社グループの実績や培ってきたノウハウを活用した案件創出、Society 5.0に基づく成長戦略やデジタル・ガバメント実行計画に沿った官民融合の新たな社会システム実現に向けた新規ビジネス等により事業拡大をめざしました。

<公共機関向けのデジタルビジネスを推進>

 当社の保有する「Digital Community Platform」(注9)等のクラウド・デジタル技術を用いて「クラウド・バイ・デフォルト原則」(注10)に基づいた公共機関の高セキュリティ実現や利便性向上を推進しました。

● 官庁及び自治体等に対し、「Digital Community Platform」の機能追加として、既存システムが保有するユーザー情報とクラウドサービスを安心・安全・便利につなぐ「DCPF クラウドコネクトサービス」の提供を2020年9月より開始しました。本サービスは既存のオンプレミス(注11)上でのユーザー・権限管理が可能なため、従来どおりの運用のまま管理者業務の簡素化が可能になります。更に情報漏えいの防止、ユーザーの利便性向上、コンプライアンス強化等により安心・安全なクラウドサービスを実現します。

● 政府情報システムのクラウド活用を推進するため、「OpenCanvas for Government」(注12)を2021年2月より提供開始しました。本サービスはコスト削減やアジリティ向上、スケーラビリティ確保の要件から高信頼・高可用性の要件まで幅広く対応することで、お客様に最適なプラットフォームを提供します。また、「OpenCanvas」(注13)をベースにすることで、金融機関や他社クラウドとの連携を可能とするほか、政府情報システムに求められる高いセキュリティや運用品質を提供します。

<スマートシティの実現に向けた新ブランドを創設>

 スマートシティの実現に向けた新ブランド「SocietyOS」を2021年1月に創設しました。少子高齢化や環境問題等様々な課題への持続的な対応、行政デジタル化、生活者ニーズの多様化や変化等への対応手段として、スマートシティが注目されています。「SocietyOS」は、様々なサービス・ソリューションとの連携、システム・デバイスからの幅広いデータ収集・活用、クラウド環境を活用したサービスの高速デリバリ、NTTグループのノウハウ・技術力を用いて、スマートシティの実現、持続可能なまちづくりに貢献します。


金融

 規制緩和と技術革新により金融機関の事業環境は大きく変化しつつあり、デジタル技術を活用した金融サービスが登場するなど、金融事業に参画するプレイヤーが多様化する中、当社は引き続きお客様へ高信頼で高品質なサービスを提供し続けるとともに、時代の変化を先取りすることで、デジタル時代におけるビジネス拡大をめざしました。

<Blockchainを活用した貿易デジタル化を業界横断で推進>

● 貿易業務に付随する書類作成、整合性の確認作業等の課題解決、及びより正確かつ安全に情報を受け渡す仕組みの提供を目的として、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営する㈱トレードワルツへパートナー6社と共同出資を行いました。「TradeWaltz」は、これまで書面で作成されていた貿易文書を、Blockchain技術を活用してスマートデータ化し、原本性を確保した貿易の電子データの共有を業界横断で可能とします。それにより、貿易業務の事務処理効率化にとどまらず、今後は貿易に関わる全ての業務を電子データで一元管理することができるよう実用化を推進し、将来的には国内外の政府機関やサービスプロバイダーと連携して、ASEANをはじめとした世界の貿易業務のデジタル化への貢献をめざします。

<新たなアーキテクチャーを用いて金融ITのオープンイノベーションを推進>

● ニューノーマルの時代に対応した新たな標準アーキテクチャーである「Open Service Architecture」(注14)及び関連サービスの提供を開始しました。「Open Service Architecture」を用いて多くのステークホルダーとともに金融ITのオープンイノベーションを推進し、ニューノーマルの時代に求められる金融機関/行政/企業との共創による新しい社会の実現に貢献します。また、「Open Service Architecture」関連ソリューションとして27金融機関が採用するバンキングアプリ「My Pallete」をリニューアルし、「My Palleteフルサービス版」として2021年1月より提供を開始しました。本サービスでは、金融機関店頭のタブレットでの口座開設等取引時にQRコードを用いてアプリを即時登録することができます。更に、当社が提供する個人向けインターネットバンキングサービス「AnserParaSOL」との連携により、紙で行っていたインターネットバンキングの申し込みが不要となるほか、ユーザーは本アプリだけで申し込み、口座開設、残高照会、振込等のフルバンキングサービスの利用が可能となります。


法人・ソリューション

 デジタルを活用する流れの更なる加速、グローバル競争力強化の要請の高まり、及び新型コロナウイルス感染症の世界的大流行における市場環境の大きな変化等により、製造業、流通業、サービス業等における事業環境が大きく変化しています。この変化に対応するとともに、業務と先進テクノロジーの専門性を掛け合わせた高い付加価値を提供し続け、お客様事業の成長を支援することで、ビジネス拡大を更に進めました。

<キャッシュレス関連事業を推進し、新たな技術を提供>

 キャッシュレス決済に関連する分野で、消費者にとってより便利で新しいサービスの提供を推進しました。

● 税金・水道料金等の公共料金の決済を取り扱う当社サービス「公共決済プラットフォーム」において、2020年6月「PayPay請求書払い」の取扱いを追加しました。これにより、住民の利便性向上、収納率の向上が期待できます。
● 決済総合プラットフォーム「CAFIS」にて、不正利用対策ソリューション「CAFIS Transaction Manager」の提供を2020年7月より開始しました。本サービスではクレジットカード会社が保有する不正取引監視機能の一部を「CAFIS」に共通化することでシステム負荷を軽減します。

<新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に対応するソリューションの提供・強化>

 ウィズコロナ社会における新しい生活様式に対応した新しいサービスの提供を推進しました。

● ㈱東急ハンズの協力のもと、オペレーターの動きと連動するアバターを介して遠隔から商品を提案するデジタルストアの実証実験を2020年10月から12月にかけて実施しました。本実証実験を通して、接客にアバターを介することで接触機会を減らしお客様が安心して買い物できる機会の実現や、接客スタッフの自宅を含む様々なロケーションからの勤務により柔軟かつ多様な働き方の検証を実施しました。
● 新型コロナウイルス感染症の感染対策としてリモートワークを推進する企業が増えていることを受け、当社の提供するクラウドサービスである「BizXaaS Office」に、内部不正等のリスク検知を強化する「BXO Managed UEBA」を追加し、2020年10月より提供開始しました。「BXO Managed UEBA」は、機械学習によって内部不正や標的型攻撃等のリスク検知を強化し、適切なセキュリティを提供します。


北米

 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行における新たなニーズの拡大等、市場環境が大きく変化する中、オファリングの選択と集中やM&Aによるケイパビリティの拡充を通じて提供価値の向上を図るとともに、既存の強みとデジタル技術を掛け合わせることで変化に対応し、お客様のデジタルトランスフォーメーションをサポートしました。

<買収を通じてServiceNow及びSnowflake関連のケイパビリティを拡充し、デジタル対応力を強化>

 当社子会社であるNTT DATA Servicesは、M&Aを通じてデジタル対応力の強化を更に推進しました。

● ServiceNow, Inc.のElite Partner(注15)として認定されているAcorio LLCを2020年10月に買収し、お客様のデジタルワークフローの確立を支援するための専門的な知見を獲得しました。また、Acorio LLCの有する人財育成制度をデジタル関連に拡大して整備しており、デジタル人財拡充にも貢献しています。
● Snowflake Inc.のPremier Partner(注16)に認定されているHashmap, Inc.を2020年12月に買収し、「Snowflake」等のクラウド型のデータプラットフォームに関する専門的な知見をもとに、お客様によるデータ・アナリティクスの活用を支援しています。

<クラウドやAIの活用により、複数のお客様のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みを推進>

 当社子会社であるNTT DATA Servicesは、デジタルオファリング強化の成果として、複数のお客様のデジタルトランスフォーメーションを支援しました。

● オーストラリア、ビクトリア州の公共交通機関を管轄するパブリック・トランスポート・ビクトリアと協力して、新たなモバイルアプリケーション機能(RideSpace)を作成しました。NTT Smart SolutionsによるAIを活用したリアルタイムでの混雑状況の把握やGoogleマップとの連携を可能とし、予測分析の活用によるオペレーションの改善に貢献するとともに、ウィズコロナ社会でのソーシャルディスタンスと安全確保を支援しています。
● 北米の大手環境関連サービス会社からクラウド推進のパートナーとしてHashmap,Inc.が選定され、Hashmap,Inc.が強みを持つ「Snowflake」やAWSなどを用いたクラウドデータアナリティクスを活用することで、柔軟性と信頼性を両立した横断型のビジネスオペレーションを実現しました。
● 米国アラバマ州の年金機構から、クラウド変革推進を支援する案件を新たに受注し、Microsoft Azure、Google Cloud、AWSやプライベートクラウドソリューション、自動化技術の活用により運用効率性の向上に貢献しました。


EMEA・中南米

 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行における新たなニーズの拡大等、市場環境が大きく変化する中、事業構造改革を通じた事業運営の効率化をめざすとともに、積極的な投資によりデジタル領域での新たなオファリング創出やケイパビリティの拡充を図り、既存の強みと掛け合わせることで、お客様のデジタルトランスフォーメーションへのニーズに的確に対応しました。

<ウィズコロナ社会における新しいソリューションの構築により、医療従事者の負担を軽減>

 ウィズコロナ社会における様々な課題の解決、新しい社会の実現に向けて、事業を通じた社会貢献を加速しました。

● 新型コロナウイルス感染症対応に特化した専用機能を拡充したクラウド型遠隔医療ソリューション「ehCOS Remote Health」を欧州・南米で無償提供することで、自宅療養が可能な軽症患者の遠隔診療を可能としました。また、ポルトガル最大の医療提供会社であるCUFより、新基幹システムの導入案件を受注しました。「ehCOS」の提供するデジタル技術を活用した新しいプロセスやイノベーションを促進していきます。
● 英国最大のNHSトラスト(注17)のひとつであるUHL(University Hospitals of Leicester)のITサービスパートナーに選定され、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でUHLが医療サービス事業者として実施する緊急対応を、AI、RPAといった最新技術を用いて支援しました。

<お客様事業のデジタル化をパートナーとして推進>

 お客様事業のデジタルトランスフォーメーションにおける豊富な実績や先進技術を活用する姿勢が高く評価され、複数の案件において戦略パートナーとしてデジタル化を推進しました。

● イタリアの大手エネルギー会社であるEni社から、アプリケーション開発領域におけるデジタルトランスフォーメーション案件を受注し、デジタル化構想のコンサルティングから導入までお客様のデジタル変革を一貫してサポートしました。
● イタリアの大手エネルギー会社から、次世代スマートメーターを活用したデジタルビジネス推進やプロダクトデザイン等の案件を受注し、デザイン思考アプローチにより、プロトタイピングを通じたプロダクトデザインサービスやテクニカルサポートを提供しました。
● 欧州機関eu-LISA及びFrontexとの間で、AI技術活用による安全で効率的な国境管理のためのITシステム開発に係る複数年契約を締結しました。本開発案件では、ALMツール(注18)の活用や先端技術の適用による効率的な開発・運用を実現し、更に自動化されたセキュリティアラート管理ソリューションの導入により高度かつ迅速な安全管理を促進していきます。


(注9)Digital Community Platform
2020年3月より提供している、官庁及び自治体等の公共機関のデジタル化を推進するマルチクラウドソリューションです。

(注10)クラウド・バイ・デフォルト原則
日本政府から2018年6月に公表され、2021年3月に改定された「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」において、政府情報システムの整備に関してクラウドサービスの利用を第一候補として検討を行うものとする方針のことです。

(注11)オンプレミス
情報システムの利用に必要となるサーバ等のハードウェアを自己の管理下に設置する運用形態のことです。

(注12)OpenCanvas for Government
「OpenCanvas」をベースとした政府向けのコミュニティクラウドサービスです。

(注13)OpenCanvas
ミッションクリティカルな要件に対応できる高い信頼性とセキュリティを兼ね備えたクラウドプラットフォームです。

(注14)Open Service Architecture
"Open" をコンセプトに「Open Platform」「Open API」「Open Innovation」の3つの特徴を有する、新しい金融ITの姿を具体化する標準アーキテクチャーです。

(注15)ServiceNow, Inc.のElite Partner
ServiceNow, Inc.が提供するパートナープログラムの中でも、同社が提供するクラウド型ITサービスマネジメント製品であるServiceNowを利用した業務に一定以上の成果を上げ、豊富な導入実績、顧客満足度及び多数の認定資格者を有しているなど、トップレベルであると認定されたパートナーのことです。

(注16)Snowflake Inc.のPremier Partner
Snowflake Inc.が提供するパートナーネットワークの中でも、安定したSnowflakeプラクティスを有するサービスパートナーのことです。

(注17)NHSトラスト
英国イングランドとウェールズの国民保健サービス内の組織単位、独立行政法人のことです。

(注18)ALM(Application Lifecycle Management)
ソフトウェア開発・保守を各アプリケーションのライフサイクルにわたって継続的にプロセス管理する手法のことです。


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2021/06/17 12:00:00 +0900
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