第5号議案
定款の一部変更の件(パリ協定目標と整合する中期および短期の温室効果ガス削減目標を含む事業計画の策定開示)

第5号議案及び第6号議案は、株主様3名からの共同のご提案によるものです。
各議案の議案名、提案内容、及び提案理由は、原文のまま記載しています。

提案内容

以下の章を新設し、本会社の定款に追加的に規定する。
第 章(脱炭素社会)
第 条(パリ協定目標と整合する中期および短期の温室効果ガス削減目標を含む事業計画の策定開示)

  1. 本会社の長期的企業価値向上を促進するため、気候変動に伴うリスクと事業機会に鑑み、本会社がパリ協定への貢献を表明していることに従い、本会社は、パリ協定第2条第1項(a)(「パリ協定目標」という)と整合性ある短期および中期の温室効果ガス削減目標を含む事業計画を策定し、開示する。
  2. 上記の削減目標は、スコープ1(直接排出)、スコープ2(電力等使用による間接排出)およびスコープ3(事業に関連する他社の排出)を含むものとし、各スコープを区別し開示する。
  3. 本会社は、上記削減目標の進捗状況を年次報告書において開示する。

提案理由

本提案は、スコープ1から3の短期(2025年まで)および中期(2030年まで)の温室効果ガス削減目標を含む事業計画の策定、開示を求めるものである。
本会社は、国際エネルギー機関が示す2050年ネットゼロシナリオに反し、火力発電所の建設、ガス田やLNGインフラの新規開発計画を継続、拡大させている。これは、自らの2050年までのネット・ゼロ排出目標と時間軸が明らかに矛盾する。
本提案による短中期の削減目標の策定開示は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨、および投資家の要望にも合致する。このことは投資家団体や、他国での投資家から広い支持を受けた株主提案からも明らかであり、世界の企業による同様の情報開示も年々増加している。
本提案の可決により、本会社は脱炭素経済への移行におけるリスクを早期かつ確実に削減し気候変動リスクの適切な管理を行うことにより、企業価値の維持向上が可能となる。

当社取締役会の意見
本議案に反対いたします。

 当社は、創業以来の企業理念である『三綱領』のもと、「脱炭素社会への貢献」を対処・挑戦すべき経営上の重要課題と位置付け、2021年10月に公表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」(以下「ロードマップ」)で温室効果ガス(以下「GHG」)排出量の中長期の削減目標(2030年度半減(2020年度比)・2050年ネットゼロ)を開示するとともに、その達成に向け、着実に事業を推進しています。今般公表した『中期経営戦略2024』においても、エネルギー需要の充足という使命を果たしながら、SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成に向けた諸施策を打ち出しています。
 また、定款は会社の組織・運営の基本的事項を定める根本規範であり、GHG排出量削減目標の策定・開示等、個別具体的な業務執行に係る事項を定めることは、経営環境の変化に応じた機動的かつ迅速な業務執行や方針の策定・変更の重大な支障となり、当社の企業価値の毀損につながる虞があるため、適切ではありません。
 さらには、以下に記載のとおり、当社はGHG排出量の削減に向けた取組を既に推進してきていることから、本株主提案が求める内容を定款に規定する必要はありません。

GHG 排出量(Scope1/2)削減目標について
  • 当社はロードマップにて、パリ協定に整合するGHG排出量の中長期の削減目標(2030年度半減(2020年度比)・2050年ネットゼロ)を策定・開示しています。
  • 当社の2030年度目標は、各種削減努力を踏まえ算出した根拠がある数値です。当社としては、かかる2030年度目標を確実に達成するためには、短期目標の設定ではなく、より適切なGHG排出量の管理プロセスを整え削減進捗を把握し、これを開示することが重要と考えています。この考えの下、『中期経営戦略2024』において、投資計画策定に当たり短中期のGHG削減計画を確認する、具体的かつ実効的なプロセスを新たに確立し、公表しました。また、各年度のGHG排出量は従来どおり今後も適切に開示し、ステークホルダーの皆様に対して2030年度目標に向けての削減進捗を示していきます。
GHG排出量(Scope3)削減目標について
  • 当社の削減目標には、Scope3のカテゴリー15(投資)に相当する関連会社のScope1/2排出量の当社出資比率持分相当分を含むため、Scope3の一部の削減目標は策定・開示済です。
  • 当社は、当社におけるScope3排出量の大半を占めるカテゴリー11(販売した製品の使用)について、適切に開示することの重要性を認識しています。開示に向けては、当社事業の実態を正確に表した排出量を算出するべきと考えていますが、三菱商事グループは広範な分野で多角的に事業を展開し多種多様な商品を取り扱っている一方で、Scope3排出量の算出にかかる統一的な国際ルールが整備途上であるため、排出量の算出方法については慎重な検討が必要です。したがって、今後の国際的な議論の状況を踏まえ、開示に向け、鋭意検討を継続していきます。
  • さらに『中期経営戦略2024』では、Scope3を管理する仕組みとして、Scope3カテゴリー11の排出量等の観点で「トランスフォーム」事業(天然ガス事業等)を抽出し、サステナビリティアドバイザリーコミッティーにおいて社外有識者からの助言を得ながら、2050年ネットゼロに整合する1.5℃シナリオに基づく当該事業方針への影響を、毎年経営レベルでモニタリングする体制を整えることも公表しています。

 したがって、当社は本株主提案に反対いたします。

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2022/06/24 12:00:00 +0900
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