第6号議案
定款の一部変更の件(新規の重要な資本的支出と2050年温室効果ガス排出実質ゼロ達成目標との整合性評価の開示)

第5号議案及び第6号議案は、株主様3名からの共同のご提案によるものです。
各議案の議案名、提案内容、及び提案理由は、原文のまま記載しています。

提案内容

本会社の定款に以下の章を新設し、以下の条項を追加的に規定する。
第 章 脱炭素社会
第 条(新規の重要な資本的支出と2050年ネットゼロ達成の道筋との整合性評価の開示)

  1. 本会社の気候変動に伴うリスクと事業機会における長期的企業価値の維持向上のため、かつ本会社の2050年温室効果ガス排出実質ゼロの達成目標との整合性を維持するため、本会社の石油ガス資産の上流、中流または下流の新規開発に対する重要な資本的支出たる投資ならびに計画のある将来の投資の基礎にある仮定事項、費用、予測事項、価値評価が、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする道筋によればどのような影響を受けるかについて、本会社は評価を行い、これを年次報告書において開示する。
  2. 前項の評価の開示には、営業秘密を除き、長期における資源需要、長期における資源価格および炭素価格、資産の残余稼働期間、将来不可避となる資産の不稼働、資本的支出、減損処理に関する重要な仮定事項および予測事項を含めるものとする。

提案理由

本提案は、2050年ネットゼロに至る過程における気候変動関連の財務リスクと株式価値への影響を理解することを目的に、評価の開示を求めるものである。
本会社が、国際エネルギー機関の2050年ネットゼロシナリオに反して火力発電所の建設、ガス田やLNGインフラの新規開発計画への関与を持続しており、移行リスクの拡大を伴う。
2050年ネットゼロ目標と整合する資本配分の枠組みなしに、時間軸、前提シナリオが相容れない事業や企業活動を継続することは、重大な減損処理の危険性を孕む。
本提案の開示は、投資家の要望に合致する。このことは投資家団体や、他国での投資家から広い支持を受けた株主提案からも明らかであり、世界の企業による同様の情報開示も年々増加している。
本提案の可決により、本会社は脱炭素経済への移行におけるリスクをより正確に把握、株主に開示し、減損の未然防止により長期的な企業価値の維持向上が可能となる。

当社取締役会の意見
本議案に反対いたします。

 当社は、創業以来の企業理念である『三綱領』のもと、「脱炭素社会への貢献」を対処・挑戦すべき経営上の重要課題と位置付け、2021年10月に公表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」(以下「ロードマップ」)で温室効果ガス(以下「GHG」)排出量の中長期の削減目標(2030年度半減(2020年度比)・2050年ネットゼロ)を開示するとともに、その達成に向け着実に事業を推進しています。今般公表した『中期経営戦略2024』においても、エネルギー需要の充足という使命を果たしながら、SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成に向けた諸施策を打ち出しています。
 また、定款は会社の組織・運営の基本的事項を定める根本規範であり、投資計画やその前提条件といった経営判断の基礎となる重要情報の開示等、個別具体的な業務執行に係る事項を定めることは、経営環境の変化に応じた機動的かつ迅速な業務執行や方針の策定・変更の重大な支障となり、当社の企業価値の毀損につながる虞があるため、適切ではありません。
 さらには、具体的な取組として、当社は、『中期経営戦略2024』にて、以下の各事項を含む新たな仕組み及び施策を導入し、当社事業が個別案件及び全社事業戦略の両面において、2050年ネットゼロに向けたシナリオと整合することを確認するためのガバナンス・リスク管理体制を整えていることから、本株主提案が求める内容を定款に規定する必要はありません。

  • 当社は、移行機会※1の大きい「グリーン」事業(再生可能エネルギー・グリーン水素事業等)及びScope3カテゴリー11排出量等の観点から移行リスク※1の大きい「トランスフォーム」事業(天然ガス事業等)を抽出し、「グリーン」及び「トランスフォーム」に分類された事業の個別投融資案件の審査においては、2050年ネットゼロに整合する1.5℃シナリオ下における社内炭素価格(ICP)等の主要前提を用いた案件評価を行っていきます。
  • また、「トランスフォーム」に分類された事業については、サステナビリティアドバイザリーコミッティーにおける社外有識者からの助言を得ながら、1.5℃シナリオに基づく当該事業方針への影響を毎年経営レベルでモニタリングしていきます。
  • さらに、当社は2030年度までに2兆円規模(うち2024年度までの3年間で約1.2兆円)のEX関連投資を行い、ポートフォリオの低・脱炭素化を図ります。

 なお、当社は、上記取組に加え、低・脱炭素化により事業環境が大きく変化した際の当社事業の耐性を客観的に評価するために2018年度よりTCFD※2提言に則り移行リスク・機会分析を実施し分析結果を開示しています。
 したがって、当社は本株主提案に反対いたします。

  • 1 気候変動対策が進み、世界の平均気温の上昇が2℃または1.5℃以内に抑えられる世界に移行した場合に企業が直面するリスク/機会。
  • 2 Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。金融安定理事会(FSB)によって設立された、気候関連財務情報開示タスクフォースであり、企業等が市場に開示すべき項目を提言。
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2022/06/24 12:00:00 +0900
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