当社は『中期経営戦略2024』にて新たなサステナビリティ施策を導入し、2050年ネットゼロに向けたシナリオと整合することを確認するためのガバナンス・リスク管理を機能的に行う仕組みの構築を進めています。また、各施策の実効性を高めていくとの方針のもと、ステークホルダーの皆様との対話等も通じて、2022年度には以下(1)に記載の取組を推進しており、(2)記載の当社業務執行への制約にも鑑みると、本議案の内容を定款に規定すべきではないと考えています。
- (1)当社取組の推進
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- 1.5℃シナリオ分析について
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2022年度は、外部の第三者機関と協働し、可能な限り主要な前提を国際エネルギー機関が公表する2050年ネットゼロシナリオと整合させたうえで、地域別・商材別の需要といったより細かい粒度のデータを含む1.5℃シナリオを策定しました。また、このシナリオに基づき、「天然ガス/LNG」「原料炭」「再生可能エネルギー」の3事業を対象に、当社事業の特性や地域戦略等を踏まえた定量面も含む詳細なシナリオ分析を実施し、その結果を開示しました。
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- トランスフォーム・ディスカッションについて
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1.5℃シナリオ分析の実施対象である「天然ガス/LNG」「原料炭」については、同事業に対する気候変動関連のリスク項目の特定、及び現状・動向把握を行い、それら項目の事業戦略への影響を討議するため、トランスフォーム・ディスカッションを実施しました。また、その後に開催された事業戦略会議において、同ディスカッションにおける確認結果も踏まえた討議を実施し、かかる気候変動リスクを踏まえた事業戦略の立案に活用しています。
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- 新規投資の脱炭素採算評価について
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2022年8月より、気候変動の移行リスク※が大きいと特定されたトランスフォーム事業、及び移行機会※が大きいと特定されたグリーン事業の新規投資案件の審議の際には、1.5℃シナリオ下の主要前提(社内炭素価格等)を用いた採算評価を実施し、投資判断における討議に活用しています。
- ※気候変動対策が進み、世界の平均気温の上昇幅が産業革命以前に比べて2℃又は1.5℃以内に抑えられる世界に移行した場合に企業が直面するリスク/機会。
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- 1.5℃シナリオ分析について
- (2)当社業務執行に対する制約
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本議案は、石油ガス資産の新規開発への資本的支出と2050年ネットゼロ目標との整合性評価に関し、その評価対象及び開示項目を個別具体的に定めていますが、その定義・範囲は必ずしも明確ではありません。例えば、新規個別投資案件に紐づく重要な前提情報等、その開示により当社競争力維持に影響が生じるものについては、「営業秘密」に該当することを理由に開示を控えることになりますが、その場合、本議案が開示対象としている情報の範囲や、「営業秘密」の定義を巡って、第三者より当社が定款に従った開示を行っていないと主張される可能性もあります。従い、個別の投資案件毎に定款への適合性について慎重な検討・判断が必要となり、当社にとって過大な負担になると考えています。
以上の理由から、当社は本議案に反対いたします。
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