事業の経過及びその成果

 当社グループは、当連結会計年度(2019年1月1日から2019年12月31日)より国際財務報告基準(以下、IFRS)を適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組替えて比較分析を行っております。
 当社は2019年12月期から3年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。中期経営計画の基本戦略である①収益力強化の継続、②新事業・新領域への挑戦による成長に取り組み、更なる企業価値の向上に努めております。
 当連結会計年度における売上収益(※)は、主に国内農事業、国際事業において前期から減収となり、事業利益(※)は減益となりました。
 「その他の収益」として、物流子会社であるカゴメ物流サービス㈱を新物流会社F-LINE㈱に統合した際の事業譲渡益を16億92百万円計上しております。また、「その他の費用」として、9月から10月にかけての大型台風の影響により、子会社である千葉ベビーリーフ菜園㈱は大きな被害を受けたことから災害損失を3億61百万円計上しております。
 以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比2.0%減の1,808億49百万円、事業利益は前期比0.8%減の123億4百万円、営業利益は前期比15.1%増の140億79百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比13.3%増の101億98百万円となりました。
 ※ 売上収益は、従来、販売費及び一般管理費に表示していた販売に関するリベート等を直接控除して表示しております。事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。

●売上収益・事業利益


●基本的1株当たり当期利益(EPS)・1株当たり親会社所有者帰属持分(BPS)

セグメント別の業績の概況は、次の通りであります。

国内事業売上収益 1,433億54百万円(前期比1.3%減)

各事業別の売上収益の状況は以下の通りであります。

 1  加工食品

主要製品及び商品等 野菜ジュース トマトジュース トマトケチャップ トマト調味料 など

売上収益 1,324億85百万円(前期比0.3%減)

 加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
[飲料]
 「野菜生活100」シリーズは、ターゲットを明確にした新商品「野菜生活100 アップルサラダ」が好調に推移いたしました。また、9月から展開した『名探偵コナン』とコラボレーションしたキャンペーンにより、飲用機会の増加につながりました。トマトジュースについても、機能性表示の効果によって飲用の習慣化が進み、引き続き堅調に推移しています。また、「野菜生活100」シリーズ、トマトジュースの一部大型容器商品については、7月から価格改定を実施しています。なお、7月の天候不順等により一時的に需要が落ち込みました。

[食品他]
 トマトケチャップは、5月に全国の絶品オムライスを集めた実食イベント「オムライススタジアム2019」を開催しました。家庭用・業務用のカテゴリーを越えた統合的なマーケティングを展開し堅調に推移しました。
 業務用カテゴリーにおいては、量販店に向けた中食向け商品の販売が増加したものの、コンビニエンスストア向け等の受託製品の販売が減少しました。
 通販・贈答用製品カテゴリーにおいては、通販の主力飲料である「つぶより野菜」に加え、野菜の美味しさを味わうポタージュや、機能性表示食品のサプリメントが引き続き堅調です。

 2  農事業

主要製品及び商品等 生鮮トマト(高リコピントマト、β-カロテントマト、ラウンドレッドなど) ベビーリーフ など

売上収益 95億67百万円(前期比14.3%減)

 当連結会計年度も引き続き収益構造改革に取り組み、変動する生鮮トマトの市況に対して供給量をコントロールする取り組みを進めました。5月から6月の低迷した市況下では供給量を計画的に減らすことが出来ましたが、当第1四半期連結会計期間における日照不足、並びに、当第3四半期連結会計期間における夏秋産地形成の遅れ等により、供給量が低下しました。

 3  その他事業

主要製品及び商品等 運送・倉庫業 不動産賃貸業 業務受託事業 など

売上収益 41億87百万円(前期比75.2%減)

 当社は、物流費高騰など深刻化する食品物流の諸課題の解決に向けて、食品メーカー協働での取り組みを一層推進することを目的として、当社を含む食品メーカー5社で物流統合会社を2019年4月に発足しております。
 この物流事業の再編に伴いカゴメ物流サービス㈱を物流統合会社であるF-LINE㈱へ統合したことから、同社を連結の範囲から除外しております。従って、当連結会計年度は同社の2019年1月から2019年3月までの3ヶ月間の業績を連結しております。

国際事業売上収益 440億61百万円(前期比4.7%減)

    国際事業

主要製品及び商品等 トマトペースト、ダイストマト ピザソース、トマトケチャップ  トマト・野菜種子 野菜飲料 など

国際事業では、トマトの種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しております。

 主な子会社における現地通貨建業績の概要は以下の通りです。
KAGOME INC.(米国)は、顧客のシステム変更による出荷遅れが売上に悪影響をもたらした他、関連会社であるIngomar Packing Company, LLC(米国)の業績悪化等により、減収減益となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、顧客別採算管理を強化し、増収増益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)においては、グループ向け販売が減少したことにより減収となりましたが、製造コストの抑制等により、事業利益は前期同水準となりました。United Genetics Holdings LLC(米国)は、トルコでの育苗事業が堅調に推移し、増収増益となりました。

会社の経営上の重要な事項

 該当事項はありません。

研究開発の状況

 当社グループは、独創的でイノベーティブな製品開発や健康情報発信を行うため、品種・栽培技術、素材・加工技術、機能性エビデンスに関する研究を研究施設併設の試験圃場やパイロットプラント等で行っております。また、当社グループの事業基盤を強化するため、品質保証技術の高度化と、知的財産の保護・活用に取り組んでおります。
 また、長期経営ビジョン「トマトの会社から、野菜の会社に」の実現に向け、経営戦略と研究テーマの連動、社内外の連携・協働による新たな研究テーマやコンセプトの創出を積極的に進めております。また、外部研究機関に研究員を派遣した、ネットワーク型研究拠点を拡充することで、オープンイノベーション型研究の強化を行っており、新たな価値創りを加速させております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、35億25百万円であります。

本年度の主な概要とその成果は、次の通りであります。
 ①皮膚のカロテノイドレベルなどを光学的に測定することで野菜摂取量の充足度が推定できる測定機器を、ドイツのBiozoom services社と共同開発いたしました。センサーに手のひらを乗せて数十秒で測定可能であることから、利用者にその場で結果を伝えられる簡便性を特徴としており、2019年7月からは、健康増進施策の強化を図る自治体などにむけて、販売・レンタル及び本機器を活用した健康サービスの販売を開始しました。
 ②機能性成分“スルフォラファングルコシノレート”は、中高年世代において肝臓のダメージを軽減し、血中ALT値(肝臓の健康状態を示す指標の一つ)を改善することを明らかにいたしました。引き続き、野菜とその成分の疾病予防・改善効果を明らかにし、発信していくことでお客様の健康長寿へ貢献してまいります。
 ③品種・栽培技術研究の分野において、おいしさを訴求した生鮮トマト品種や園芸用苗品種等、計6件の品種登録出願を行いました。また、北海道の農業で深刻な問題となっている外来の害虫「ジャガイモシストセンチュウ」と「ジャガイモシロシストセンチュウ」に対して、抵抗性と密度低減効果を持つ加工用トマトを開発いたしました。本品種の活用を通じて、持続可能な農業に貢献いたします。
 ④商品開発部では、飲料分野にて「野菜生活100」にアップルサラダを新規追加し、既存品の改良によりシリーズを進化させ、Smoothieシリーズも新商品・改良商品の投入により、スムージー市場のトップシェアに成長しました。また、野菜飲料を拡張した「ONEDAY」、「PLUS BALANCE」、「AOJIL」などの新領域商品を発売しました。調味料・調理食品分野では、「野菜がはいったおかず調味料」の新商品・改良商品によりシリーズを活性化し、カゴメ独自の製法で作った業務用「野菜だし調味料」を導入しました。乳酸菌分野では、機能性表示食品「カゴメラブレαプレーン」を発売しました。BtoB領域では、カゴメ独自の高リコピントマトを用いた複数の新商品が採用されました。

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2020/03/27 12:00:00 +0900
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