第202回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 5801

当期における当社グループの事業の経過および成果の概況

 当期の世界経済は、米国においては、金融引締めによる需要抑制効果が顕在化したものの、良好な雇用情勢や実質所得の増加が個人消費を下支えし、政府の産業支援策等により企業の設備投資にも力強さがみられ、景気は堅調に推移しました。欧州においては、実質所得の改善が個人消費を下支えしたものの、インフレや金融引締めの継続に伴う景気の下押し圧力が依然として強く、エネルギー価格高騰・供給制約による物価上昇の影響が残存したこともあり、景気は低迷しました。中国においても、経済成長重視の政策としてのインフラ投資が景気を下支えしたものの、不動産市場の停滞に加え個人消費も回復の兆しがみえず、景気は低迷しました。さらに、ロシア・ウクライナ情勢や中東での軍事衝突など不安定な状況が継続しており、世界的に先行きが不透明な経済環境が続きました。
 わが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの兆しがみられるものの、物価高による消費下押しと、人手不足等による設備投資の遅延により、景気の回復ペースは緩やかなものとなりました。
 このような環境の下、当社グループでは、2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けての時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)からバックキャストして2025年に目指す姿の達成を見据えて策定した中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)に基づき、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」および「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいりました。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいりました。
 「資本効率重視による既存事業の収益最大化」については、成長性と収益性の観点から可視化された事業の位置付けに基づき、資本効率性を意識した経営管理の推進に取り組んでまいりました。また、情報通信ソリューション事業においては、高付加価値製品の販売比率を高めることで製品ミックスの改善による利益率向上を図ってまいりました。自動車部品事業においては、顧客の生産計画の変更にも柔軟に対応できる体制の整備に引き続き努めるとともに、販売価格の適正化に取り組んでまいりました。
 「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」については、次世代のエネルギー源として期待される核融合*発電の開発を進める英国の顧客に対し当社グループは超電導線材を供給しておりますが、新たに同社に出資するなど、同社とのパートナーシップの強化を推進してまいりました。また、国内においては、核融合発電を含むクリーンエネルギーに関する事業の創出を目的とする協議会に参画いたしました。さらに、日本国内において道路や鉄道等の社会インフラの老朽化と労働人口の減少が進行する中、社会インフラ維持管理向けデジタルソリューションの受注活動に注力してまいりました。

*核融合… 強力な超電導マグネットで高温プラズマ(数億度)を閉じ込め、核融合反応でエネルギーを発生させる。核融合の燃料の元は海水(重水素(2H))であり、二酸化炭素(CO2)を排出せずに発電可能で環境負荷も低いことから、核融合による発電は次世代のエネルギー源として期待されている。

 「ESG経営の基盤強化」については、脱炭素社会および水・資源循環型社会への貢献等を掲げた「環境目標2030」の達成に取り組んでおり、一部の工場の全電力について実質再生可能エネルギー由来電力化を実現するなど、CO2排出量削減を進めてまいりました。また、従業員個々人と組織がともに実行力を向上させ成長するため現状をモニタリングする調査を実施し、その結果を踏まえた改善施策を事業活動に反映していく「人材・組織実行力の強化」の取組みを実施してまいりました。加えて、経営層がESGの取組みを一層推進するための仕組みとして、新たにESG連動報酬を加えた役員報酬制度の運用を開始いたしました。
 当期の業績につきましては、情報通信ソリューション事業において顧客の投資抑制等による需要低迷により光ファイバ等が減収となり、電装エレクトロニクス事業においてワイヤハーネス等の自動車部品が増収となったものの、グループ全体の売上は減少しました。損益面では、販売価格の適正化等に取り組んだものの、売上の減少や原燃料価格の上昇等により減益となりました。
 その結果、連結売上高は1兆565億円(前期比0.9%減)、連結営業利益は112億円(前期比27.7%減)、連結経常利益は103億円(前期比40.5%減)となりました。投資有価証券売却益120億円などを特別利益に、固定資産処分損15億円などを特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は65億円(前期比59.1%減)となりました。なお、海外売上高は5,452億円(前期比0.7%減)で、海外売上高比率は51.6%(前期比0.1ポイント増)となりました。
 単独の業績につきましては、売上高は2,968億円(前期比3.0%減)、営業損失は91億円(前期比73億円悪化)、経常利益は3億円(前期比96.2%減)、当期純利益は19億円(前期比92.4%減)となりました。

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2024/06/26 12:00:00 +0900
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